令和拾遺物語

実話を元にした現代の拾遺物語です

どっち?

あるSMクラブに警察のガサが入った。そこはバーを謳っていたので、業務形態的に問題があったのか、そこら辺の真相は分からないが、とにかく警察がいきなりカチ込んできた。

 

そこでは常連の玉木さんがまさにプレイを受けている最中で、三角木馬に跨り、猿ぐつわをはめられ、目隠しをされた状態でフガフガやっていた。

 

「はーい動かないでねー」

 

警察がそう言うと、玉木さんは息を漏らすように「ふぁああい」「うごけまへんよぉ」と言った。その日は玉木さんの誕生日だったので、店長が気を利かせてサービスを追加してくれたと思い、「やるじゃん」と内心テンションが上がっていた。

 

警察が玉木さんに近づき、目隠しと猿ぐつわを取ると、玉木さんは「お、リアルだねぇ」と言った。

 

「これどこに売ってんの?アマゾンで買える?」などと立て続けに質問した。

 

「本物の警察ですよ」と警官が言うと、「上手だねぇこの子は~」と依然プレイだと思っている。

 

警察が「バーの詳細を事情聴取したいので、一度署まで来ていただいていいですか?」と玉木さんに尋ねると、彼は「いいよ~」と言ってパトカーに乗せられた。

 

玉木さんはパトカーの窓から、

「これガチのやつ!?プレイ!?どっち!?どっちィ!?」と叫んでいた。