令和拾遺物語

実話を元にした現代の拾遺物語です

目覚め

幼稚園児の森君の家系はインキンタムシの呪いにかかっていた。家族、親戚、ありとあらゆる血縁者がインキンタムシに祟られていた。理由は不明だが、とにかく親族が集まる正月やお盆などは、そこにいる全員が常に金玉を掻きむしっているといった有様だった。家やバッグ、車の中には常にオロナインが常備され、四六時中金玉をめくりあげてオロナインをベッタベタに塗りまくっていた。ある日などオロナインを忘れて家を出てしまった日は、東京駅の八重洲口前にあるセブンにスマホを置き忘れてきた時と同じくらい焦ったと叔父さんは言ってた。

 

そんな森君は幼稚園でいつもチンポをいじっていた。特に痒いわけでもなく、これといった理由はないのだが、親族が全員いつもチンポをかいているので、それが普通だと思って気づくとパンツに手を入れてしまうのだ。すると保育士の一人がそれに気付いた。

 

「どうしたの?ちんちんかゆいの?」

 

それに対して森君は「いやあ?」などと言ってはぐらかしていたが、保育士に、

「あーもうまたちんちんいじってる」「先生が見てあげようか?」「ほらちんちん触っちゃだめって言ってるでしょ」「ほらあまたちんちんいじってる」

などと言われるのが妙に嬉しく、その保育士の目の前に行ってわざとチンポをいじるフリをするなど将来性の高さを見せつけ、ついに母親が招集されてやめさせるように注意されるなど、才能の片鱗が輝きだしていた。

 

森君は大人になると、初めてセックスをする機会に恵まれた。池袋の安いラブホテルで、近所で有名なヤリまんがやらせてくれるというのだ。

 

 

しかし森君はイケなかった。っていうか勃たなかった。

 

 

彼は自分をゲイだと思い、近所のゲイにお願いしてみたがそれでも勃たず、

「なぜだ?なぜ勃たんのだ?」と自信を失いかけていた。

 

ある日先輩の誘いでSMクラブを訪れ、金玉を無意識に掻いていると、

 

「ちんちんかゆいの?」

 

と嬢に言われた。すると森君のチンポは雨後の筍のようにグングン伸び、爆発しそうになった。