令和拾遺物語

実話を元にした現代の拾遺物語です

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

真の思いやりとは

ある集落の近くの山に小さな厠がある。便所のことである。建設に際して会議が開かれ、村民が山の風景を壊すのはアレだろうっていうので、ログハウス風のオシャレな感じに建てられた。 それからというもの、その厠は大人気となり、わざわざその厠で用を足すた…

目覚め

幼稚園児の森君の家系はインキンタムシの呪いにかかっていた。家族、親戚、ありとあらゆる血縁者がインキンタムシに祟られていた。理由は不明だが、とにかく親族が集まる正月やお盆などは、そこにいる全員が常に金玉を掻きむしっているといった有様だった。…

変態コンサルタント

有名コンサルティング会社に勤める山村はK大學を卒業し、神主の友人が多数いる。 昨今では神社経営も楽ではなく、GHQによって解体された日本の神道文化は廃れる一方であり、戦前の国家公務員としての地位も失墜し、これからの神社は時代に合わせた経営が…

擬態

ある男が瞑想にハマり、臨済宗の寺へ足繁く通っていた。般若心経も暗唱できるようになり、初めはキツかった20分3セットの瞑想メニューも苦ではなくなってきた。 「呼吸と姿勢を整えれば自ずと心も整う」 そう住職に伝授された男はかなりいい感じの瞑想を…

神をも恐れぬナンパ師

あるアパートに宣教師の女性が引っ越してきた。 神の教えを忠実に守ろうと思い、隣に住む男に挨拶をすると、自分がクリスチャンであることを告げ、聖書を渡した。 「隣人を愛しなさいと神様は仰ったので、良かったらこれをどうぞ」 男はそれを受け取ると、「…

ある日イオンをブラブラしていると、マラソン選手のような恰好をした男が屈伸運動をしているのをふと見つけた。男は二人組で、もう片方の一人はアシックスのジャージを着こみ、ストップウォッチを首から下げていた。 そこへ迷子の放送が鳴った。 「~君とい…

チャレンジャー

ある小学生たちがブラックバス釣りをしていた。すると一人の小学生が、 「チンポで釣るわ」 そう言い出した。 バス釣りにはよくワームと呼ばれる疑似餌が用いられ、ミミズのような形をしていたり、中には芋のような形をしているものもあり、種類は数百にも及…

殻を破る

清水さんは非常に静かな人で、むしろ静かすぎるというか、中年にしてそれはちょっと限度を超えているというか、いわゆる拒絶恐怖症と呼ばれる疾患を抱えていた。 原因は幼少期のトラウマや躓き体験、挫折経験など多岐に渡るがはっきりとは断定できない。治療…

ダーツ

牧田という若い消防士がいる。彼は非常に心優しく、正義感溢れる頼もしい男である。 ある日牧田は高校時代の部活の先輩、高田と夕飯を食べていた。 「先輩はいいですよね、お客さんはみんな笑顔でお店に来るでしょう。僕は悲しんでいる人たちの現場に行かな…

勇者

あるゴルフ場で、カート走路の一部を拡張する工事が行われようとしていた。なんでも18番ホールからクラブハウスに戻る時、道が狭くて通りづらいとのクレームが増えてきたらしく、対策を余儀なくされた。 しかし大きな問題があった。その道のど真ん中には大…

プライド

日本の西の方に某スポーツ強豪校があり、そこに地元で有名な名物監督がいた。 その監督は小さな団地に住んでいたが、全国から合宿で集まってくる選手達に、宿泊費が少しでも浮くようにと部屋に泊めてあげたりしていた。 優しくて、心の広い先生であると有名…

更生

美咲と春香は連休中ある島を訪れた。有名観光スポットである。 二人はレンタカーを借り、海岸沿いの駐車場へ停めると、早速海へと繰り出した。 思いっきり泳いでみたり、浮き輪でプカプカ浮いてみたり、のんびり日焼けしたりと海を満喫し、そろそろホテル戻…

どっち?

あるSMクラブに警察のガサが入った。そこはバーを謳っていたので、業務形態的に問題があったのか、そこら辺の真相は分からないが、とにかく警察がいきなりカチ込んできた。 そこでは常連の玉木さんがまさにプレイを受けている最中で、三角木馬に跨り、猿ぐ…

転職

ゴルフ場へ転職した館野という真面目な男がいた。仕事を覚えるのが非常に早く、またコミュニケーション能力にも長け、現場での信頼もすぐに勝ち取った。中途で入ってきた彼は歓迎され、いい子が入ってきてくれたと支配人も嬉しそうだった。 しかし彼はただの…

心配性

ある会社に鳥立さんという苗字の営業マンがいた。彼は非常に真面目で、会社内の評価も高かった。そんな彼が退職することになり、みんな残念がっていた。 ある日、鳥立さんがコピー機を持って家を出発すると、それを見た父親が鳥立さんの会社へ電話をかけた。…

ルフィ

地元にルフィと呼ばれる少年がいる。なんでも釣りの最中に雷に打たれたが、そのまま何事もなかったかのように釣りを続けていたそうだ。

シャンクス

地元にシャンクスとの異名をとる男がいる。なんでも住民税の支払いを頑なに拒否し、ついに赤紙が届いたことを自慢してまわっていたらしい。

平家の末裔

五月になると鯉のぼりが昇り始める。色とりどりの鯉が宙を優雅に遊泳し、晴れた空によく映える。 さて、五月に入り鯉のぼりを見かけると、自分は平家の末裔であると名乗りだす平さんという男がいた。鯉のぼりになぜか敏感に反応し、「私は平家の末裔なんです…

男子三日会わざれば刮目してみよ

中田という男がいた。彼は大学時代サッカーサークルに所属し、試合でもそこそこの存在感を見せていた。 少し変わっていたのは、中田は飲み会で水しか飲まなかった。なぜかは分からない。彼は頑なに水を飲みたがり、「すいません、水ください」と、全員がビー…

ライバル

とある競技全日本優勝、同競技日本記録保持、オリンピック元日本代表と輝かしい成績を残した人物がいる。中学時代にはすでに頭角を現し、その界隈では伝説と称されるアスリートである。しかしその影には、全国制覇を三度も阻止された準優勝の男がいた。身体…

トライエブリシング

ある変態中学生が好きな子の体操着のにおいを嗅いでいるところを見つかってしまった。放課後になると学校へ忍び込み、夜な夜なロッカーを漁っていたらしい。それを見つけた正義感の強い生徒が、「お前そういうダセーことやってんじゃねーよ。好きなら好きっ…

草野球チームでセンターを守る保守派

保守派思想の後輩の話。 元々真面目な奴だったが高校へ進学した頃から学校、家庭、世の中への不満が高まるばかりで非行へ走り出し、ぐちゃぐちゃした気持ちのまま高校を退学後、暴走族へ入った。 手先の器用だった彼は原付の改造にハマり、日に日に高くなる…

故郷

日本で働く外国人の方が、職場で働く先輩の親族が亡くなったというので、初めてお葬式に参列することになった。なぜそんな遠いご縁のお葬式に参列するのかといえば、その先輩は非常に面倒見がよく、なんでも相談に乗ってくれる優しい人だから、とのこと。先…

男子高校生と修学旅行

めっっちゃオナニーしてる男子高校生がいた。していない時間の方が短いかも、と本人が言うくらいとにかくシコりまくっていたらしい。ズリっていない間もちんぽを弄んだり、皮を引っ張ってみたり、玉をムニムニ揉んでみたり、とにかく彼の右手はほとんどの時…

歌舞伎町に響いたラ・マルセイエーズ

とある高校の送別会の話。 父親がフランス人、母親が日本人のティエリという高校生がいた。顔つきは父親譲りで完全にフランス人だが、日本生まれ日本育ちの彼は一切フランス語を話せないらしい。その父親はいわゆる典型的フランス人ではなく、例えW杯でイギ…

意思を持った中指

ヘヴィメタルバンドのギタリスト、まー君はとにかく女にもてまくっていたが、一つの固い信念を持っていた。本当に愛せる女が見つかるまでは、手マンはいずれにしてもちんぽは挿入しない、との誓いである。彼にどんな過去があるのかを誰も知らないが、とにか…

初めてのパスポート申請

親友から海外旅行に誘われた葵はパスポートを取得するため市役所へ出向いた。 申請書類を手に入れ早速記入を開始。 特に問題はないように見えたが、英語アレルギーの彼女は少し狼狽させられた。 パスポートには英語表記欄があり、申請書のほぼ全ての欄に英語…

三階から飛び降りた男

とある有名体育大学に入学した男の話。 その大学は非常に上下関係が厳しく、その厳しさは体育会系大学の中でもトップクラスらしい。その男は寮に入り、初めての団体生活を開始したが、数ヶ月もすると言動が少しおかしくなり始めた。目が座り、先輩への態度が…

ある田舎町の駅伝大会

毎年の駅伝大会が恒例行事の田舎町がある。 そんなに大きなイベントとは言えないが、地元の消防団、商工会、病院、スポーツジム、学校の先生、中学生の野球部やバレー部など、参加チームはそれなりに多く、適度な緩さも手伝ってそこそこの盛り上がりを見せて…

肘が壊れた

納豆が大好きな男の話。 キンゾーさんという職人がいた。年齢65歳、I県はM市在住でとにかく納豆を愛しているそう。「納豆のおかげで私はここまで病気もせずに生きてこられた」と言うほど、とにかく納豆を食べまくっているそうである。混ぜ方にもこだわり…